昨晩は、仙台で牛タンを堪能した。

いやぁ、旨かった。

旨かったのだが……

まだ顎がダルい。

70歳のおやじには、牛タンの歯ごたえは、ちょっとしたトレーニングだったようだ(笑)。

さて、今日はどうするか。

特に予定はない。

いつものことでいきあたりばったり。

地図を眺めながら、

「そうだ、塩竈神社に行ってみよう」

ということで、塩竈へ向かった。


塩竈神社の階段を、なめていた 😅

閖上から塩竈神社はさほど遠くない、国の重要文化財にも指定されている由緒ある神社だ。

表参道側からは駐車場が無いので注意が必要だ。

せっかく来たのだから、表参道から登ってみたくなった。

ところが……

これが結構な階段だった。

急な階段が、上へ上へと続いている。

「何段あるんだ?」

数えてはいない。

というより、数える余裕がない(笑)。

駐車場からなら、こんな急な階段を登らずに参拝することもできる。

それなのに私は、わざわざ上から下へ降りていき、

そして、その急階段を一気に登る。

何をやっているんだ、70歳のおやじ。

途中、先に登っていた若い兄ちゃんを追い越した。

「おっ!」

心の中で小さくガッツポーズ。

70歳、まだまだいけるんじゃねぇか?

そんなことを思いながら、ゼェゼェ言って登った。

神様にお参りする前に、こっちが神様になりそうだ(笑)。


塩竈魚市場で昼飯

そうこうしているうちに、昼近くになった。

次は塩竈魚市場へ。

ここは、よくある観光地の鮮魚センターとは少し違う。

一般客だけではなく、業者も出入りする、昔ながらの市場だ。

中に入ると、昭和の風情がしっかり残っている。

こういう場所、自分は嫌いじゃない。

むしろ好きだ。

「ここは震災の被害はどうだったんだろう?」

そんなことを考えながら市場を歩くが昼過ぎだというのに、すでにかたずけの準備。

そして、市場の真ん前にある海鮮丼の店に入った。

客は一人。

店主のおばちゃんと、何やら最近起きた女子殺人事件の話で盛り上がっている。

そのうち話は、男女の関係の話にまで発展していった。

おばちゃんは時々こちらにも話を振ってくる。

私は、

「そうですねぇ……」

「なるほどねぇ……」

と相槌を打つだけ。

話には深入りしない。

70歳にもなると、その辺の距離感だけは身についている(笑)。

注文したのは、

鮭イクラ親子丼。

食べてみる。

うん、まずくはない。

ただ……

心の中で、

「おい、おばちゃん。鮭、ちょっとしょっぱいぞ」

と、つぶやいた。

もちろん、口には出していない(笑)。


次はブルーインパルス

当初の予定では、今日は塩竈で一泊するつもりだった。

しかし、まだ時間が早い。

「もう少し行ってみるか」

またしても、いきあたりばったりだ。

次に向かったのは、松島。

航空自衛隊の松島基地だ。

ここは、あのブルーインパルスの基地。

東日本大震災のときには、基地も津波の被害を受け、ブルーインパルスの機体も被災したと聞いている。

私が基地の近くに着いたとき、ちょうど任務を終えたブルーインパルスが戻ってきた。

その瞬間、

「キーン!」

という、甲高いジェット音が響いた。

やっぱりジェット機の音は凄い。

できれば飛び立つところを見たかったが、そう都合よくはいかない。

「まあ、帰ってくるところを見られただけでも良しとするか」

そう思って、次の目的地へ向かった。


石巻へ

次は石巻。

今回の東北一人旅で、私がどうしても訪れたかった場所の一つだ。

東日本大震災。

石巻も大きな被害を受けた地域だ。

震災から15年。

テレビで見ていた、あの光景。

それから年月が流れ、実際に自分の目で見てみる。

向かったのは、

門脇小学校。

そして、

みやぎ東日本大震災津波伝承館。

ここで改めて、津波の恐ろしさを感じた。

特に印象に残ったのが、

地震が起きてから津波が来るまで、約1時間ほどあったのに、なぜこれほど多くの命が奪われたのか。

ということだった。

伝承館では、たまたま空いていたこともあり、女性の係の方がマンツーマンで丁寧に説明してくれた。

一つ一つ話を聞いていると、時間が経つのを忘れてしまう。

気がつけば、館の閉館時間が迫っていた。

門脇小学校と伝承館を見るだけで、

3時間近く。

それだけ、この場所には見るもの、考えることがあった。


今夜は女川へ

本当なら、このまま石巻で車中泊するつもりだった。

ところが、石巻市内で夜間にトイレが使える場所が、なかなか見つからない。

キャンピングカーで旅をしていると、これが結構重要なのだ。

「どうするかな……」

いろいろ考えた末、

女川まで行くことにした。

向かったのは、道の駅おながわ。

ここはいい。

鮮魚あり。

焼肉屋あり。

居酒屋あり。

そして♨温泉もある。

時間はすでに6時を回っている。

あたりが暗くなり、店の看板にも明かりが灯り始めた。

周辺を歩いていると、

「酒飯処 かぐら」

という店を見つけた。

こうなると、もう入るしかない(笑)。


女川の居酒屋で、ちょっとした人情 🍺

店に入ると、カウンターには年配の男性が二人、飲んでいた。

私はカウンターに座ろうとした。

ところが、

「そこは予約が入っているんですよ」

とのこと。

すると、その二人の年配者が、

「俺たちはテーブルで飲むから、ここ使っていいよ」

と言ってくれた。

ありがたい話だ。

しかし、さすがに先客のお二人に移動してもらってまでカウンターに座るのは申し訳ない。

「いいです、私がテーブル席に行きますから」

そう言って、自分はテーブル席へ。

しばらくすると、その二人は奥の座敷へ移っていった。

どうやら宴会が始まる前に、先飲みしていた二人だったらしい。

こういうのがいい。

旅先で、知らない人同士。

名前も知らない。

それでも、ちょっとした気遣いがある。

こういうのが、一人旅の面白さなのかもしれない。

店を切り盛りしているのは、50代くらいの大将と、40代くらいの女性。

大将は主に料理。

女性が接客を担当している。

そこでその女性に、

「ここは何がおすすめ?」

と聞いてみる。

すると、

「刺身の盛り合わせなんか、どうですか?」

とのこと。

頭の中には、なぜか小名浜で食べたマグロ丼が浮かんでいる。

いろいろメニューを見て迷ったが、結局、

刺身の盛り合わせ。

そして、手書きのメニューに、

「さんま焼き」

と書いてある。

「じゃあ、さんまも」

と注文した。

ところが少しすると、大将が、

「今日のさんまは、あまり良くないですよ」

と言う。

おいおい。

だったら……

手書きメニューに書くなよ(笑)。

焼き物が欲しかったので、

「ほかに何かあります?」

と聞くと、

「マグロのハラミはどうですか?」

とのこと。

心の中で、

「またマグロか……」

と思ったが、結局これも注文。

なんだかんだで、マグロに縁がある旅だ。


一人旅なら、やっぱりカウンター

せっかく居酒屋に来た。

せっかくカウンターに座った。

それなら、店の人とも少しくらい話をしないわけにはいかない。

女性の店員さんとも、社交辞令的な話を少しする。

ただ、座敷では宴会が始まり、彼女も忙しそうだ。

こちらも、それ以上話しかけるのは遠慮した。

しばらくすると、30代くらいの男性が一人で入ってきて、カウンターに座った。

少し話をした。

旅の話やら、いろいろ話したのだが……

やっぱり年齢が違いすぎる。

話が微妙に噛み合わない(笑)。

まあ、それも一人旅だ。

無理に話を合わせる必要もない。

それぞれが、それぞれの時間を過ごせばいい。

結局この夜は、

生ビール1杯。

そして、

ハイボール3杯。

ほどよく酔ったところで、店を出た。


今日もアドリアで一人

女川の夜。

街の明かりを眺めながら、アドリアへ戻る。

朝は塩竈神社の階段を登り、

昼は魚市場で海鮮丼を食べ、

午後は松島基地でブルーインパルスの音を聞き、

夕方から石巻で震災の記憶に触れ、

夜は女川の居酒屋で酒を飲んだ。

なんとも忙しい一日だったが、充実した一日だった。

でも、予定なんて何も決めていない。

その時の気分で行き先を決める。

これが、

70歳のおやじの一人旅。

明日はどこへ行くのか。

それも、まだ決めていない。

まあ……

明日のことは、明日考えればいい。

アドリアの中で、ハイボールの余韻を残したまま眠りについた。